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2011年8月26日 (金)

NOWHERE MAN

27日に京都のビートルズ研究会(ノートルダム女子大学小林順教授主催)で“NOWHERE MAN”の詩の研究会があるのですが、お邪魔できなくなってしまいましたので、ここで自分なりの考えで解釈してみたいと思います。

ネットを見てみるとnowhereという単語に対して、「行き場のない」、「あてのない」、といった翻訳が多いようですが、かつて香月利一さんが「manという語が続くので、nowhereという語は副詞ではないはず。だから、ここでは『どうしようもない』という意味ではないか」ということをご著書で書かれていました。しかし、私の手元の辞書に形容詞としてのnowhereはなく、香月さんがおっしゃっている意味に近いものは「get(take)+目的語+nowhere」で「何の役にも立たない」というのがあるだけでした。おそらくこのnowhereは副詞というよりも、名詞として使われていて、名詞+名詞で前の名詞(nowhere)が形容詞的になっているのではないかと思っています。

この曲が収められているアルバム“RUBBER SOUL”にはジョージが初めてシタールを使った“NORWEGIAN WOOD”がありますが、この頃はもしかするとジョンもかなり東洋思想の知識を蓄えていたのではないかと推測しています。この曲にもそれが表れているように思えてならないのですが。そうでなければ、本能的に東洋の「無常」、「万物流転」の法則が頭にあったのではないかと思うのですが。

 

He's a real nowhere man,
Sitting in his nowhere land,
Making all his nowhere plans
for nobody.

彼は実存しない人

実存しない国に住み

実存しない人のために

実存しない計画を立てている

 

Doesn't have a point of view,
Knows not where he's going to,
Isn't he a bit like you and me?

これと言った考えも持たず、

自分がどこに行くのかもわからず、

彼って、ちょっと君や僕と似てないか?

 

Nowhere Man please listen,
You don't know what you're missing,
Nowhere Man,the world is at your command!

「実存しない」君、聞いておくれ

君は気がついていないようだが

「実存しない」君、この世は君の力で変えられるのさ                                                         

 

He's as blind as he can be,
Just sees what he wants to see,
Nowhere Man can you see me at all?

彼は見たくないものは見えないし、

見たいものだけが見える。

「実存しない」君、僕が見えるかい?

 

Nowhere Man, don't worry,
Take your time, don't hurry,
Leave it all till somebody else
lends you a hand!

「実存しない」君、心配しないで

時間をかけて、あせらずにいこう

(やることをやったら)誰かが君に手を貸してくれるまで

時に身を任せてみるのもいいかもしれない

 

Doesn't have a point of view,
Knows not where he's going to,
Isn't he a bit like you and me?

これと言った考えも持たず

自分がどこに行くのかもわからず

彼って、ちょっと君や僕と似てないか?

 

Nowhere Man please listen,
you don't know what you're missing
Nowhere Man, the world is at your command!

「実存しない」君、聞いておくれ

君は気がついていないようだが

「実存しない」君、この世は君の力で変えられるのさ


He's a real Nowhere Man,
Sitting in his nowhere land,
Making all his nowhere plans
for nobody.
Making all his nowhere plans
for nobody.
Making all his nowhere plans
for nobody!

彼は実存しない人

実存しない国に住み

実存しない人のために

実存しない計画を立てている

 

ここでの「実存しない」というのは「存在しない」という意味ではなく、この世のものは何一つそのままではない(刻一刻、変化している)わけですから、そこにいたとしても「そのままではいられない」、「その姿のままではない」という意味で使っています。つまり「その時その時に『存在』はしているけれども、確固たるものとして『実在』するものでない」という意味です。

般若心経がまさにそれを説いていますが、ジョンは本などでインドの思想を読んでこのことを知っていたか、或いは本能的に察知していたかどちらかではないかと想像しています。

「この世は君の力で変えられるのさ」と翻訳したのも、人の行動によって「因」となり、「縁」が生じ、(運命論とは違って)それまでとは違う流れが生まれてくるという意味で書いてみました。“the world”という言葉は「世間」ではなく「自分の世界、人生」という意味で捉えました。

「(やることをやったら)誰かが君に手を貸してくれるまで、時に身を任せてみるのもいいかもしれない」というのは「この世は縁次第」的な意味。

この曲は、ある人に向かって言っているのかもしれませんし、ジョンが自分に向かって諭すように言っているのかもしれません。

この解釈でいくと、全ての人がNOWHERE MANということになります。(“Isn't he a bit like you and me?”という所ででそれをほのめかしていますが)

勝手な解釈をしてしまいましたが、この詩は私たちが思っているよりも深い意味を持つのではないかと思っていましたので、こんな感じになってしまいました。どうかお許し下さい。

 

尚、27日の京都のビートルズ研究会は以下のとおりです。

 

第13回ビートルズ研究会(被災者義捐活動を兼ねて)

8月27日(土)、13:00-16:00,

京都ノートルダム女子大学、マリア館、ガイスラー・ホール

「ビートルズ、メジャー・デビュー49年の意義を語る」

ゲストから一言、弾語り+歌詞解説(アルバムRubber Soulから、"Nowhere Man")、東日本震災義捐金募集、リバプールからメッセージ,

資料配布

連絡先、小林順、(Tel(090 3941 7131)あるいは E-mail(kobajun@gmail.com)で)

無料,予約不要、50名程度

 

 

 

追記

最近、以下のブログでNowhere Manに関しての興味深い記事を拝見しました。

http://mitsubachi-bros.seesaa.net/article/161590511.html

今回のNowhere Manの記事を書くにあたって、当方に資料はそれなりにありますのでこの詩が書かれた時に関するいくつかの文献にあたってはいましたが、そこに記されているものはこの詩が書かれた時の状況描写のみで、なぜ突然この詩がジョンの中から生まれ出でて来たのかが述べられていません。ジョンは美術学校時代に東洋の思想を友人から既に学んでいましたが、深層意識の中にそれが組み込まれていたのではないかと推測しているのですが。そして1965年に星加ルミ子さんがロンドンのスタジオにいるビートルズを訪ねて来た時、ジョンはかなり禅など日本の文化について聞いて来たといいます。その点からも、もうこの詩が書かれた頃にはかなり東洋思想の本を読んでいたのではないかと思われます。上記のブログで述べられているように、本人が気づいているいないに拘わらず、この詩はジョンがそれまでに蓄えたものが、nowhereという言葉となって顕現したのではないかと想像するのですが。本人の口から言ったのかどうかはともかく、このnowhereはnow hereという意味もある、という人が多い(ネイティヴ・スピーカーでもそう言っている人がいます)のですが、真偽はともかくとても興味深いと思います。now here=今ここにいても(存在はしても)、nowhere=どこにもいない(実存しない)。

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