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2011年6月14日 (火)

IMAGINEで問われていたこと

  

ばぶさんからコメントを頂いて触発され、また、あることがきっかけで“IMAGINE”が取り上げられることになったようなので、ふとIMAGINEの歌詞を今一度考えてみたいと思いました。

この歌は、何気なく聴いていると心地よい歌なのですが(穏やかなメロディーに平和を歌った歌詞が)、実際は大変厳しいことをジョン・レノンは自らに、そして私たちに問いかけています。単純に平和を歌ったものではない歌であることが分かります。

   

Imagine there's no Heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today

Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

Imagine no possessions
I wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of man
Imagine all the people
Sharing all the world

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will live as one

   

第1スタンザは宗教に関する問題提起。「信じれば天国に行け、信じなければ地獄に堕ちる」という考えをやめよう、と言っています。現代の日本人はこの感覚はあまり持ち合わせていないかもしれませんが、キリスト教を信じる人たちにとっては重要な問題です。その考え方をやめる=キリスト教の教えに背くことになるため、キリスト教信者にとっては実行し難いことなのではないでしょうか。

第2スタンザは国家、宗教と戦争の関係についての問題提起。「戦争を起こし殺し合いのもとになるような国家、宗教ならばいらないのでは」と言っているように響きます。単に「国家、宗教などなくていい」と言っているのではないのです。

第3スタンザでよく間違えられることは「ジョン=夢想家」という図式を描いてしまうことです。これはまるっきり逆で、「自分は『夢想家』と呼ばれるかもしれないが、そうではない。このように考えるのは私だけではないのだから。みんなも賛同してくれるといいのだけれども」と解釈するのが普通です。最近の村上春樹のスピーチを読んで思ったのは、ここの部分の解釈を間違えているのではないかということ。

第4スタンザ。ここが今の私たち日本人に問われている部分ではないかと思います。果たして自分の財産を人のため、世の中のために捧げられるか。実は先日、千葉の財産家が昭和30年代に私財を投げ打って建立した『東京湾観音』を参拝して来たのですが、観音様を眺めながら、このスタンザを思い出しました。またこのスタンザは、お金持ちの人たちだけに向けて歌ったのではなく、広く一般の人たちにも問いかけているのだと思われるのです。今の私たちにとっては、東日本大震災の被災者の方々に対して、自分たちはどこまでつくせるか。そして今、日本は「脱・原発」を目指しつつありますが、このスタンザを読むと「それにはもう贅沢はできませんよ。覚悟はできていますか?」という問いかけになるような気がします。

第5スタンザの最後に“And the world will live as one”とあります。第3スタンザで“And the world will be as one”となっていたのに対してliveという言葉を使っています。「そうすれば世界は一つのようになって生き続けてゆく」という意味なのではないでしょうか。その証拠としてジョンはインタビューで、ネガティブな小説を書くイギリスの作家たちを批判して、「世界は滅んでいく」というような考え方をきっぱり否定しています。

以上、英語を細かく読み、文脈を読み取りながらやってみたのですが、いかがでしょうか。日本人はとかく歌詞カードについている翻訳に頼ってしまいがちですが、そうすると解釈がかなり違ってしまうこともあると思います。著名人でもよく誤った解釈をしていることがあります。

今、このIMAGINEを読むと、自分たち日本人に「覚悟はできているの?」と問われているような気がします。ただ単に平和を歌ったものではなく、平和への道は実に大変なものなのだということを、ジョンは40年も前に示してくれていたということでしょうか。

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