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2010年7月 3日 (土)

松本亨先生のこと

   

最近は昔のことを思い出すことが多くなりました。このブログでも記事にしました「松本亨高等英語専門学校」のことをよく思い出します。昨日は、松本亨先生から直接ご著書にサインをして頂いた時のことを思い出しました。

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写真は1968年に発行された名著「英語で考える本」です。私は1974年にこの本を購入していますが、同年(或いは75年だったかもしれません)に、同校主催の東京代々木のオリンピック記念青少年総合センターで行われた英語合宿に参加した際、この本に松本先生から直々にサインをして頂きました。

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当時、松本先生のような有名な方からサインを頂くなんて初めてのことでしたので(小学生の頃、どんな人だかわからないまま西鉄ライオンズの玉造選手からもらったことがありますが〔古い!〕)、書いて頂いている間、とても緊張していました。

松本先生はNHKラジオ英語会話を20年以上講師として勤められ、ご著書もたくさんありますが、先生が亡くなられても、この「英語で考える本」は今も絶版とならずに発売されているようです。

代々木のオリンピックセンターでは、松本先生からサインを頂く前に、先生のご講演があったと記憶しています。お話のあと、質疑応答の時間にひとりの参加者が「英語もしっかり勉強したいが、大学受験の勉強もあるのでどうしたらよいでしょうか」という質問をしました。先生のお答えは「実は私は大学を出ていません。生き方はいろいろあるのでは」というものでした。自分は「えっ!そうだったかな?」と思い、先生のプロフィールを確認すると、たしかに神学校ご出身で、その後コロンビア大学大学院に進まれています。よって大学は出ておられません。先生がおっしゃりたかったことは、「生き方はいろいろあり、初めからレールを敷いてしまう人生などつまらないのでは?」ということだったのではないかと推測します。そしてそのあとに「人生は長いですから、ひとつのことを必死にやってみる時期があってもいいのではないでしょうか」とおっしゃっていたと記憶しています。

今、英語の教材は世に溢れていますし、英会話学校も35年前とは比べ物にならないくらいたくさん存在します。それなのに、日本人の英語の力は一向に伸びていないと思います。未だに英語が受験の道具とされているだけで、学校でも真剣に生徒の「英語力」向上をめざしているところは少ないと思われます。結局、受験に合格させるためだけに存在しているとしか思えません。このような状況ですから、アジアでも低い英語力の国とみなされてしまっています。松本先生が「英語と私」というご著書の中で、日本の英語教育の実情を嘆きながら、それでも外国人が日本人の英語を馬鹿にするのには我慢できない、とおっしゃっていました。若い人たちにどんどん世界へ飛び出していって活躍して欲しいと、呼びかけておられました。今、松本先生がご健在でしたら、日本の英語教育の現状を見て何とおっしゃるのだろうかと思います。

私が今、中高一貫校と塾で教えていて思うことは、「音声」の面ですぐれた生徒が非常に少ないということ。前任校で教えていた時の方が、音声的に優れた生徒が多かったですね。前任校では英会話の時間の他に「発音」の時間があり、私が教えていたリーダーの時間でも音を大切にしていました。塾などでは、発音やリスニングは受験直前にやればいいという雰囲気です。全く間違った考え方です。

松本先生や松本専門学校の先生方は「英語は音の中に意味がある」と常におっしゃっていました。音を大切にした英語教育(英語の音声をしっかり指導し、授業で英語のみを使う)が行われなければ、いつまでも日本人の英語は世界から馬鹿にされるだけです。

ビートルズが好きでも英語が苦手だから意味までは深く考えない、と言って、日本盤についている歌詞の日本語訳を読んで終わりという人が多いですね。でもその翻訳が間違っていたらどうしますか?実際に間違いが多いのですから。(All You Need Is Loveなどはその最たるもの)不思議なことに、音楽を楽しみながら英語の音に触れ深く英語を学んでいくと、「何かこの日本語訳はおかしいな」と気づいてきますね。

もっと英語に関して真剣に考える場、また教える場が必要と思います。松本先生の教えはそのような場所に不可欠なものだと信じています。

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コメント

赤井川塾さん、今日は!

松本亨先生は英語教育のみならず、人間的にも素晴らしいお方で、常に日本のことを考えておられました。アメリカにおける千回にも及ぶ講演でも、いつも日本人としての立場を貫いておられました。英語が下手というだけで誤解される日本人の将来を心配されていたのは確かだと思います。

そして今、英語ができないどころか「日本」そのものが失われていっていますね。何かをしなければという思いばかりが先にたってしまいます。

松本先生の遺志を継がれて英語教育をしている方々は大勢いらっしゃいます。それでも日本全体からみればまだまだ少数派です。でも、必ず松本先生の英語教育が正しいことが理解される日が来ると信じています。

投稿: JUN LEMON | 2010年7月 6日 (火) 12時59分

「魂」とか「精神」とか、そういうものが本当のところどのようなものなのか、存在するのか否か、私にはわかりませんが、松本先生が受け継ぎ、発展させたものを、それをJUNさんが受け継ぎ、発展させ、さらにそれを次代が担い、発展させていく…。
「教育」という狭い意味ではなく、人間というものはそういうものなのでしょうねぇ。

「おいは、そげな男が好きでごわす」

投稿: 赤井川塾 | 2010年7月 5日 (月) 09時22分

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