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2009年10月 4日 (日)

“Abbey Road”の虫の鳴き声

昨日が中秋の名月、そして今日が十六夜。江戸時代の人たちはこの時期の月見を大変楽しみにしていたようです。そして江戸には多くの月見の名所があったそうです。

そんな秋の夜長、“Abbey Road”を取り出して聴きながら、このブログを書いています。そういえば自分が初めて“Abbey Road”を買ったのも今頃だったのを覚えています。秋の夜に「B面」を聴いていて、“You Never Give Me Your Money”のあとに風鈴のような鐘の音、泡の音、そしてコオロギのような虫の鳴き声が聞こえてきた時、まるで日本の「録音風物詩」を聴いているかのような気持ちになりました。ロックの音楽にこのような変わった効果音を入れたのは、ビートルズが最初ではないかと思います。

ポールが自宅で作っていたテープの中にあったものだとのことですが、決して日本人のように虫の鳴き声で「秋」を感じさせようと思ったのではないでしょうが、この部分は不思議な感じがします。日本人以外の民族では、虫の鳴き声は「雑音」にしか聴こえないそうですから、どういう意図をもって入れたのでしょうか。

数年前、藤原正彦の『国家の品格』を読んでいたら、虫の鳴き声に関する一節に出会いました。著者がアメリカ人の友人を自宅に招いた秋の夜のこと。虫の鳴き声がしていて秋を感じていたところ、その友人は「あの雑音は何だ」と言ってがっくりし、「何でこんな奴らに戦争で負けてしまったのだろう」と思ったそうです。

虫の鳴き声で秋の静けさを感じるのは日本人のみで、たいていの外国人には「雑音」でしかないようです。それをアルバムの中で曲と曲を繋ぐ効果音として使ったビートルズは、やはり凄い。こんなことを言うのは僭越ですが、他のミュージシャンと違い、些細な「音」に対しても何か鋭い感性をもっているのだと思うのです。おそらくポールも他のメンバー、スタッフもそれを意識していないと思いますが。

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